「愚民社会」読書メモ

愚民社会メモ

学生時代好きだった大塚英志を久々に読みたくなった。

愚民社会

愚民社会

 
  1. 全ての動員に抗して (2011年)
  2. 歴史を忘却する装置として象徴天皇制(2003年)
  3. アイロニカルな構造自体を示したい(2004年)

の3部構成ではあるが実際は2011年の前半と、2003年・2004年をセットにした後半で二つの議題が分かれている。

本書の中で大塚は大半聞き役に徹しており、どちらかというと宮台のその時その時に考えていることを解きほぐすような感じだった。

 

挑発的なタイトルの通り、宮台・大塚が日本社会を徹底的に批判する。Amazonのレビューが低い理由がだいたい、この二人の「土人には無理」「僕が本当にいいたいことを言う前に、それを理解するのに必要な素養や教養を、まずはみなさんに身につけていただくしかない」といった言葉にあるようなエリート主義が鼻につく、という内容のようだ。

そこに噛み付く人は、二人の議論(読みやすいように編集はされているだろうが)をちゃんと理解できているのかが怪しい。こいつらよくわからないけど偉そうにしてる-> むかつく、と評価するのは簡単だが、それこそ愚民的な反応な気がする。

二人のエリート主義的記述はまったく重要ではなく、気に入らなければスルーすればいい。しょっちゅう脱線するように見えて、最終的には本筋に戻ってくる論点の一つ一つから学べるところは多いと思う。

全ての動員に抗して (2011年)

  • 宮台の戦略
  1. <任せて文句を垂れる> から <引き受けて考える>へ
  2. <空気に縛られる> から <知識を尊重する> へ
  3. <行政に従って褒美をもらう> から <善いことをして儲ける>へ
  • 昭和天皇の逝去で右往左往する日本人を「土人」と称した浅田彰
  • 大塚の見解「土人を動員してまで良い社会を作ろうとは思わない」
  • 「反抗期がない子供が増えている」

本来は、反抗期があるのが当たり前だった

-> 成長につれて大きな存在であった父親がしょぼいと気づく過程がすっ飛ばされている

-> なぜならば、父親が初めから大きな存在ではなくなっているから

明治維新の指導層の本音は尊皇開国だけど、倒幕の為に「あえて」尊王攘夷で下級武士を煽る、など

・「あえて」という逆説(逆接)は、若い人に通じなくなっている。順接しか理解されない。

 

小さな政府の人類学的見解。

アングロサクソンは家族ユニットが小さい。ラテン・ゲルマンは家族ユニットがおおきい。

->ラテン・ゲルマンが家族から調達する便益を、アングロサクソンは市場から調達する(家族・社会から受けられるサービスを市場に求める)

 

  •  バブル崩壊以降の売春名所と、2008年の自殺実態白書の自殺率が高い場所が重なる
  • 子供を作らないことを選択したことで、見えてくる震災後の母親の欺瞞

自分の体に放射能が飛んでくる生理的嫌悪感を、「子供を守れ」という言い方で正当化する

-> 子供を疎開させる運動でも、「よその子」を連れていくという発想がない。自分と自分の子供だけ。

 

  • 「右翼だから」「左翼だから」の陣営帰属、誹謗中に淫して中身を論じない「愚民視

共産党はずっとないことになっている。

・電力会社のやらせメール、震災や原発の危険性を赤旗でずっと前から指摘していても、まったく支持が増えない

・「暴力装置」と言っただけで極左扱いされる(民主党内の右グループにいた)仙石

 

・ファナティックな発言をする女性議員

・「強い女に引っ張ってもらいたい」系のヘタレ男子が求める女性像(母)。太宰治『女性』

・息子・夫が死んでもヒロイズムに酔う。子供を戦地に送ると言う「ワクワク」感

 

あ、これ抜粋しだすとキリがないやつだった。。思い出した時に続きメモります。